鳥少年 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2013年10月23日発売)
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本棚登録 : 542
感想 : 44

70年代・80年代に書かれ、90年代の終わりまで短篇集に収録されていなかった幻想ミステリ作品群…とのこと。

私はここ数冊、皆川作品を休憩本にしてしまい美しい世界に浸りきれないという大失態を犯していたので、今回は念入りに準備したつもり。
作品の世界を存分に味わうためには、読者の姿勢も絶対大事なんだなぁ。
すごくすごく良かった。本当に素敵だった!!
息苦しいくらい溺れた。
(今回の準備は。どうしたって気分を練り上げてから読む夢野久作→谷崎潤一郎の怪奇幻想系作品集で気分を高めて、読む時も部屋の明かりを白熱色に変えて…といったところ。)

狂気と血と痛みに彩られた妖艶で美しい世界が16篇。
その中でも「密室遊戯」の最後の1行の素晴らしさ!
ページをめくったその瞬間に、漂っていた謎や不穏な空気の全てが収束して思わず息を呑んだ。
他には「火焔樹の下で」「血浴み」「魔女」「緑金譜」「滝姫」「沼」が特に好きだった。

2013年の文庫化再編集にあたって書かれた解説(日下三蔵氏)の通りに、『開かせていただき光栄です』で皆川さんの世界を知り『死の泉』で夢中になり『倒立する塔の殺人』で溺れたパターンの“一流の物語作者を発見した新しい読者”(p.330)のうちの一人である私には、本当に夢のように幸せな1冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年3月13日
読了日 : 2015年3月13日
本棚登録日 : 2014年10月2日

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