第一章の小林秀雄の引用と瑞々しい筆致で展開されるアイディアには、衝撃にも似た感動を覚えた。
が、後半に進むにつれ、観念的で、どう脳や科学につなげているのか要領を得なくなってきた。
科学を文学的に解釈しているような感じ。
科学というよりはむしろ哲学的だが、
科学の前進には哲学にも似た深い思索が必要とされているのだろうか。
引用が多用されているだけに、筆者よりもむしろ小林秀雄が凄いなァと思った。
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「物質である脳に、いかにして様々な主観的体験に満ちた私たちの心が宿るのか」 p.19
「なぜ、単なる物質を、いくら複雑とはいえ、脳というシステムにくみ上げると、そこに「魂」が生じてしまうのか、とんと見当がつかない。」 p.231
細胞生物学を学んでいて感じていた「すんなりと理解できない感じ」が上手く言い表された、と思った。
ただし、だからと言って、筆者が主張するように、近代科学のアプローチに間違いがあると短絡付けられると、私は思わない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
essay
- 感想投稿日 : 2011年10月18日
- 読了日 : 2011年10月18日
- 本棚登録日 : 2011年9月23日
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