脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎 (2014年1月30日発売)
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〈感想〉
 ドーパミンの働きに支配されて自覚のないまま
 動くのではなく、支配されながら動いている
 自分を自覚しながらの生活でありたい。

〈本から〉
・好ましい経験はドーパミンを受け取って活性化
 された脳のメモリー 海馬に蓄えられ、次に
 同じような状況が来たときにより速いドーパミン
 放出が起こるようになります。これが”期待の快感”
 です。 

・ ランナーズハイが訪れるのは運動時間で30分
 以上、運動量で5000~1万メートルは走る
 必要があるということです。しかもその人の限界
 に近いペースで走り続けないとなかなか訪れて
 くれないようです。

・依存症は物質が起こすものではなく、脳自体の
 病気なのです。

・ A10神経が放出するドーパミンを受け取る側に
 変化が出てきます。これは薬物に「耐性」が
 できることを意味します。

・ アルコールは味や喉越しを通して快感を与える
 だけではなく、報酬系をじかに活動させるのです。
 報酬系が活性化されると、ヒトが快感を覚える
 ことはすでに述べた通りですが、前述したように
 この報酬系には、普段、GABA神経というブレーキ
 がか掛かっています。アルコールには、この
 GABAを分泌するGABA神経を抑制する働きが
 あるのです。つまりアルコールがほかの飲み物に
 比べて特に好まれるのは、味がいいかではなく、
 「ご褒美」のブレーキを弱らせて、ドーパミンを
 たっぷり分泌させるからなのです。

・利他行動によって相手から得られる感謝という
 社会的報酬の依存症になっているのが利他的
 従属です。

・ 承認や評価をするときに、効果が高いのが
 「Iメッセージ」です。「(あなたは)素晴ら
 しいね」「(あなたは)頑張ったね」という
 言い方は主語があなた(You)であるメッセージで
 Youメッセージと呼ばれます。これは冷静な
 言い方ですが、感情のこもらない、ある意味で
 上から目線の言い方だともいえます。
 「(私は)あなたのすごさには毎回驚かされる」
 「(私は)あなたの作品に感動して涙が出そうに
 なった」なら、これは主語がわたし(I)メッセージ
 です。IメッセージのほうがYouメッセージよりも
 「あなたの価値を認めていますよ」という気持ちが
 十分に伝わり、社会的報酬としての価値も高い
 というわけです。

・ 人間の視覚は「顔」に対して特別な認識を
 持っているようです。

・ 店員の笑顔を見た客は、脳の中のミラー
 ニューロンが、笑顔から推察される「幸せな
 気分」に共感し、同じような気分になるのです。

・ 人はストレスを感じたあと、笑顔になると
 心拍数が下がることが判明しています。

・ オットー・フォン・ゲーリケ・マグデブルク
 大学のミュンテ博士によると、顔が笑う形で
 表情筋が動き、脳の報酬系が刺激されるのだ
 そうです。またしても報酬系がヒトの幸せに
 関与していたのです。

・幸せな人はそうでない人に比べて約10年
 長生きし、死亡リスクが35%低いという
 結果が出ています。

・ 幸せの実験をはじめとする諸要素が寿命に
 与える効果は、運動の3倍の影響がある、と
 ディーナー博士は主張しています。

・ 自己実現の欲求 ー マズローの欲求段階説
 (1)生理的欲求 (2)安全の欲求 
 (3)所属と愛の欲求 (4)承認(尊重)の
  欲求 (5)自己実現の欲求
 ヒトの全ての欲求は(5)の実現のためにある
 ように思えます。そこに至ることは困難な道かも
 しれません。しかし、ヒトがこれを目指すように
 プログラムされた存在なら、そこにも報酬系が
 まちがいなく働いているはずです。



 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 脳科学
感想投稿日 : 2014年4月13日
読了日 : 2014年4月13日
本棚登録日 : 2014年4月13日

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