パンプキン! 模擬原爆の夏

  • 講談社 (2011年7月27日発売)
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感想 : 52
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 パンプキンは、爆弾です。模擬原爆の別名です。

 爆弾に模擬も本物もへったくれもないでしょ、爆弾は爆弾で、爆発して、人を殺す武器でしょ。どうして「模擬」なの?
 そう思いませんか。
 「パンプキン」は、模擬原爆でした。

 広島と長崎に落とされたあの原爆の、練習台として、つくられたのが、「パンプキン」です。原爆の形は、通常の爆弾とは異なります。
 大きくて重くて、不格好な原爆を落としたい場所に、正しく落とすのには、練習が必要でした。原爆の開発には、多額のお金がかかっています。失敗するわけにはいきません。練習場所に選ばれたのは、大阪です。練習で爆弾を落とし、練習で人が死にます。
 人が殺し合うのが戦争。たくさん殺したほうが勝ちなのが戦争。そんなことはわかっています。でも、人殺しの技能を高めるために、人を使って練習できる神経を形成するのが、戦争なんだということを再認識してぞっとします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: YA
感想投稿日 : 2018年2月17日
読了日 : -
本棚登録日 : 2018年2月17日

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