闇に消えた怪人: グリコ・森永事件の真相 (新潮文庫 い 50-1)

著者 :
  • 新潮社 (2000年1月1日発売)
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本棚登録 : 238
感想 : 22
4

時効になり迷宮入りしてしまった同事件について
著者が自らの足で全国を巡り集めた情報を元に
事件の全貌に迫った迫真のドキュメンタリー。
未公開の情報なども含まれているため
より真相に迫れているのではないかと思う。
グリコ・森永事件を通して
普通の人には窺い知れない
裏の世界・社会の暗部を暴くことに成功しているし
たぶん僕らが思っているよりも
日本において裏と表はホントに表裏一体なのかもしれない
と思わせられる。
政治家の名前が出てきたり
国際問題に発展する怖れが出てきたりと
裏の世界と政治が大きく関わっているところも興味深い。
著者に犯人を特定する法的権限がないので
犯人について名言を避けているが
おそらくこの本の中に出てくるXという組織が
黒幕だってことなんだろうなぁと思う。
Xについて詳しく述べてないんだけど
たぶんあの団体だろうなぁ
というのはその存在を知っている人が読めば
思い当たるように書かれている。
僕らの世代だと小さいときに
テレビでキツネ目の男の似顔絵をテレビで見たとか
グリコに毒が入ったらしいって話を聞いたとか
その程度の記憶しかないんだけど
事件について詳しく知ると
他に類を見ない大型犯罪で
突飛な手口を使った知的な犯罪であり
その後の様々な事件に影響を与えているのが分かる。
劇場犯罪と呼ばれたように
犯人は手紙を使って
警察を挑発するような発言を繰り返したり
週刊誌などの問いかけに答えたりしていて
国民総探偵化なんて呼ばれたりしたらしいんだけど
それくらい興味を引く事件であり
不謹慎な言い方をしてしまうなら
推理小説を見ているような感覚を覚えてしまう。
現実は小説よりも奇なり。
まさにこの一言につきる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他の本
感想投稿日 : 2004年10月15日
読了日 : 2004年10月15日
本棚登録日 : 2004年10月15日

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