これでもかってくらい、ザ・森見ワールド。
愛嬌のある文体や、個性的な登場人物たちも、かわいくてちょっと不気味な異界の雰囲気も。
しかし森見さんの京都舞台の本を読んで思うのは、これって京都を全然知らない人が読んだらどんな感じなのかしら、ってこと。
位置関係とか、その場の雰囲気とかの説明は全然ないので、「寺町通り」とか「北白川」とかはたまた「向島」とかの地名が出てきたとき、その場所と距離感がはっきりイメージできるのと、さっぱりわからんのではまた味わい方が違う気がするのだよなあ。
自分は京都に住んだことがあるので、地名だけで景色が浮かんでこの舞台セットをどっぷり楽しめるクチなのですが、そうでない人には登場人物たちが今どこを歩いているのかがよくわからんのではないだろうか、と老婆心ながら軽く心配になりました。
とくに今回はかなり詳細に通りの名前などが出てくるので、地図あったほうがいいんじゃあ・・・と思うくらいで。
まあそれを抜きにしても充分に楽しいお話なのですが、ここまでがっちり分かちがたく土地と結びついている小説も珍しいのではないかしら。
一切の説明を加えないのがある意味作者の勇気でもあるのかもしれんのですが。
ほかの森見作品でも見覚えのある面々も登場します。
腐れ大学生たちもちょこっと出てきて、「閨房調査団」とかもなつかしい。
登場人物たちの台詞まわしとかが独特で、みんながみんなキュートでたまらん。
怠け者、大いに結構!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年2月9日
- 読了日 : 2014年2月9日
- 本棚登録日 : 2014年2月9日
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