童夢 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社 (1983年8月18日発売)
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本棚登録 : 2015
感想 : 225
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1980-81年にかけて執筆、単行本としては83年に発表された「童夢」。<br>
「気分はもう戦争」や「ハイウエイスター」等々の作品で卓越した画力と個性を持った漫画家と評価されていましたが「童夢」はそれら作品の集大成を兼ねた会心の出来だったと思います。<br>
初期作品の若者の貧乏臭さとか汗の匂いとか生活感溢れすぎの部屋とか、あのへんは何となくつげ義春っぽい暗さとアジア的湿気が漂っていたもんですが「童夢」は団地が舞台。<br>
無機的な巨大団地のなか、人々は大勢居るはずなのにどこか孤独。ひんやりとした都会の空の下、超能力の闘いが行われます。それも老人と少女の間で。<br>
団地でのサイキック・アクションは革新的な表現で圧巻。日常に潜む非日常・崩壊する世界・心理的恐怖。こんな緊張感ある作品ほかに見たことないです。<br>
人は老いるにつれ幼児に近くなっていくといいますが、ここに出てくるチョウさんは一種のアダルトチルドレンなのだという説を頭の隅に留めたまま読むとまた違った側面が見えてくる気が。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2007年3月11日
本棚登録日 : 2007年3月11日

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