国の死に方 (新潮新書 500)

著者 :
  • 新潮社 (2012年12月20日発売)
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本棚登録 : 201
感想 : 25
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うーん。
やはり歴史に対する視点が斬新で面白い。トリビア的なことも知ることができて読んでいて飽きない。


でもですね。


権力は低きに流れる生物の集団構造。ファシズムすら生み出せなかった縦割り構造の明治憲法体制。保険制度の不備から生じた罹災者たちの怒りが関東大震災時の朝鮮人虐殺を引き起こしたという仮説。日本初の地震保険を作った東条英機。浜松市で行われた初めての普通選挙が衆愚選挙となった経緯。


米騒動から共産革命を警戒した大正昭和の政党政治家たち。彼らは国民が食えるように足りない分を植民地米(外地米)増産で乗り切ろうとした。これがうまくいったが逆に内地米を圧迫し内地の、特に東北農村の疲弊を招き政党政治家へのテロの動機を生み出してしまったというアイロニー。映画「ゴジラ」に映し出された国体観念。



個々の話は興味深いことばかりなんだけど、全体として何が言いたい本なのか分からない。震災直後に書かれた雑文やらエッセイを寄せ集めた感が一杯。タイトルも分かりにくい。無理やり新書という形で本を作る必要はなかったのではないか。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年2月23日
本棚登録日 : 2012年12月22日

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