著者のクルーグマン教授は、アメリカの著名な経済学者である。
通貨と貿易理論が専門だ。そして世界一口の悪い経済学者と言われている。日本では、インフレ期待による景気回復策を唱えて有名(悪名高く?)になった。
堅苦しい経済書ではない。なにより読み易い。ただ翻訳の山形浩生の文体に嫌悪感を感じるか、親しみを感じるかは、好みの分かれるところ。個人的には好きだが。
アメリカ経済と財政を話題にして、経済のどこを見ればいいのか、なにが大事でなにがそうでないのか明確に説明されている。
例えば、経済で大事なことは(個人の生活水準を左右するものは)3つしかない。「生産性」と「所得分配」と「失業」。これがよければあとはなんとかなる。3つがだめなら、あとも全然ダメ。なぜか?・・と言うことが事例とともに分かりやすく解説されている。
さらに、経済政策の場に働いている政治的な力学まで説明されていて読み応えがある。
この本のすごいところは、わかっていないことは、「わかっていないんだ」と書いてあるところ。普通の経済入門書ではこうはいかない。
クルーグマン教授に興味を持ったら、NYタイムズのコラムも読んでみるといいかもしれない。ホームページで無料で読める。英文だけど。
まずは肩の力を抜いて、読むことをオススメしたい。
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カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2012年8月10日
- 本棚登録日 : 2007年12月17日
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