昭和の犬 (幻冬舎文庫)

  • 幻冬舎 (2015年12月4日発売)
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本棚登録 : 519
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愛情を示さない両親に従順に従って生きる主人公「イク」の、幼児時代から初老に近づくまでの日々を、8つの章に分けて描く。普通には幸福な家庭と言えないが、そばにはいつも犬や猫がいて、イクを支えてくれた。いや、犬や猫ばかりではでなく、多くの人たちが人生の道々でイクを応援してくれた。怒りっぽい父は、ソ連での捕虜の辛酸な経験が彼の人生を変えたようだし、変わり者の母にも母の事情と人生があった。でも両親も、物語を構成する多くの人物や犬猫も、イクの人生を肯定しているようだ。『すべてのものごとは、各人の胸に据えられた鏡にどう映るかなのである』という著者の多様性を容認する姿勢が気持ちよい。イクは作者姫野氏自身を描いているようだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸小説(国内)
感想投稿日 : 2017年8月25日
読了日 : 2017年8月25日
本棚登録日 : 2017年8月25日

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