杉原千畝 (小学館文庫 お 25-21)

著者 :
  • 小学館 (2015年10月6日発売)
3.53
  • (4)
  • (10)
  • (14)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 116
感想 : 11
4

 映画感想だったりして。

 道徳教材とかにもよくなっているから、観ておこうと思って。

 この映画は、バカみたいにお涙ちょーだいって感じじゃないからすごく好きだと思った。


諜報活動をしていた杉原さんのことや、国のために命を懸けていたことがよくわかるから、ビザ発給の決断に重みが出てくる。



後半で、奥さんと踊るシーンが印象的で。

歯車が回るように杉原夫妻の周りを人が回り踊る。

いつか歯車が回った時にのために、今できる最善のことをしようと誓ったにもかかわらず、歯車の中で身動きが取れないかのように、立ち止まり、自分の守りたいものと離れてしまわないように抱きしめる。

英雄なんかじゃなくて、

彼は、挫折と失望を抱え、長い時間を生きたのではあるまいか。

国のために命を懸けてきたことが、何の役にも立てず、敗戦という形で突き付けられる。

こうならない未来を望んで、世界を変えたいと生きてきたにもかかわらず。


皮肉にも、国の命令に背いたことが、「世界を変える」という夢を、国を後ろ盾に行うことを離れたことが、


図らずも世界の認識を変えるような出来事となる。


悔しかったろうなぁ、と思う。
悔しいじゃ、済まされないほどの気持ちを抱えていらしたのだろうなぁ、と。


私は、領事館の机に座る写真しか拝見したことがなかったのだけれど、

映画のラストで様々な杉原さんと家族の写真が写っていた。

なんと気骨のある精悍な顔つきをされていることか。

いるところにはきっと、このような顔つきをなさった方はいらっしゃるのだろうけれど、私は、写真からすら訴えかけてくるような、芯の強さを感じる顔つきの方を、久しく見ておらなんだと、自分の今いる環境に、

目を覚ませ、といわれた気がしてしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2015年12月13日
読了日 : 2015年12月13日
本棚登録日 : 2015年12月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする