英仏の百年戦争で活躍したフランスの英雄、ベルトラン・デュ・ゲクラン。彼の活躍を献身的に支えた従兄弟のエマニエルと妻のティファーヌ。下巻では、エマニエルの独白を通して子供を慈しむ母性愛のような二人の心情が細か描かれていて印象的。
物語は、中世ヨーロッパ、群雄割拠する領主たちが、婚姻関係や利害関係、嫉妬等かから離散集合を繰り返す混沌とした情勢の中で、フランス王シャルル五世は、デュ・ゲクランと共に、中央集権国家の樹立を目指してイングランド勢を大陸から追い落とすことに成功する成功譚になっている。ただ、晩年はデュ・ゲクランとシャルル五世のデュオの勢いも夕陽が沈むように衰えていき、二人が亡くなると元の群雄割拠状態に戻っていく。
文庫版あとがきによれば、百年戦争の英雄としては、ジャンヌ・ダルクと比べてもデュ・ゲクランの方が圧倒的に活躍したという。ジャンヌ・ダルクがかくも有名なのは、ナポレオンが意図的に宣伝しまくったからだとか。
デュ・ゲクランが幼少期に両親から虐待されていたのが史実、というのには驚いた。長編だが読みごたえあり!!
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史小説
- 感想投稿日 : 2016年11月9日
- 読了日 : 2016年11月9日
- 本棚登録日 : 2016年11月4日
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