格闘する者に○ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年3月2日発売)
3.58
  • (308)
  • (644)
  • (860)
  • (96)
  • (23)
本棚登録 : 4810
感想 : 640
4

著者が、自らの就職活動体験を下敷きとして描いたデビュー作。

文学部4年生の主人公、可南子が少女漫画オタクで運動オンチなところ、ものぐさなところ、出版社を志望する(がどこからも内定を取れなかった)ところ、仲のよい弟がいるところ等は、まさに著者そのものといった感じ(著者のエッセーからイメージした著者の人物像にマッチしている、という意味です)。さすがに、父親が入り婿の政治家で母親は義母だったり、親族会議の席で後継者にされそうになったり、70過ぎの書道家のじいさんと付き合っていたり、というのはフィクションなんだろうなあ。

忍の台詞「ちゃんと毎日体を動かしていれば、そのうち自然と食いぶち稼ぐ道は見つかるもんや。何がなんでも会社に入らなあかん、思うて焦ったらいかんよ」は、就職活動に失敗した全ての学生への温かいエールになっている。

処女作としては相当完成度の高い作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(その他)
感想投稿日 : 2020年9月29日
読了日 : 2020年9月29日
本棚登録日 : 2020年9月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする