著者が、自らの就職活動体験を下敷きとして描いたデビュー作。
文学部4年生の主人公、可南子が少女漫画オタクで運動オンチなところ、ものぐさなところ、出版社を志望する(がどこからも内定を取れなかった)ところ、仲のよい弟がいるところ等は、まさに著者そのものといった感じ(著者のエッセーからイメージした著者の人物像にマッチしている、という意味です)。さすがに、父親が入り婿の政治家で母親は義母だったり、親族会議の席で後継者にされそうになったり、70過ぎの書道家のじいさんと付き合っていたり、というのはフィクションなんだろうなあ。
忍の台詞「ちゃんと毎日体を動かしていれば、そのうち自然と食いぶち稼ぐ道は見つかるもんや。何がなんでも会社に入らなあかん、思うて焦ったらいかんよ」は、就職活動に失敗した全ての学生への温かいエールになっている。
処女作としては相当完成度の高い作品だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(その他)
- 感想投稿日 : 2020年9月29日
- 読了日 : 2020年9月29日
- 本棚登録日 : 2020年9月29日
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