小説渋沢栄一 下 (幻冬舎文庫) (幻冬舎文庫 つ 2-13)

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  • 幻冬舎 (2007年2月1日発売)
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旧幕時代「士農工商として、社会の最下層に置かれ、不当な扱いをうけてきた商人」、「利益を追求するばかりで、視野が狭く、世界貿易を経営できる才幹」を持たず商業道徳の低かった商人の奮起と自覚を促すため、栄一は実業界に転出し、請われるままに「新興の産業に失敗の危険を覚悟して投資し、五百余の会社経営に参与してことごとく成功させた」。

超人的な活躍で、我が国実業界を産み育て、明治国家を先進国の一員へと押し上げる原動力となった栄一は、何より優れた人格者だった。栄一の「事柄に対し、いかにせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやりかたをすれば、国家社会の利益になるかを考え、更にかくすれば自己のためになるかを考える」、「自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利するということなら、断然自己を捨て道理のあるところに従う」利他の精神は、現代の企業経営者にこそ求められるものと言えるだろう。

「論語と算盤」も読まないとな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝記・史伝・自伝
感想投稿日 : 2020年11月6日
読了日 : 2020年11月4日
本棚登録日 : 2015年9月27日

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