キリンの営業部門マネージャーの成功物語。
成功の秘訣として著者が強調しているのは、上から押つけられたことを他律的にこなすのではなく、「何のために働くのか」、「自分の会社の存在意義は何なのか」というところまで根本に立ち返って、やるべきことを自ら考え、自発的に動け、ということ。著者は、営業部員に対してこの意識改革を徹底して行うことによって、どの部署においても業績を飛躍的に伸ばすことができた。業務に対する姿勢が変わると結果もついてくるから、そこにやりがいや充実感が生まれ、更に熱心に取り組もうとして好循環が生まれるのだ。
著者は、営業本部員向けに送った手紙で、変革すべき行動スタイルについて、
「○「指示待ち」から「主体的に考え行動する」スタイルへ
○非生産的で「自己中心的な業務」を切り捨て、顧客視点に立つこと
○状況を切り開く勇気と覚悟をもつこと。」
ど記している。
言われてみればしごく当たり前のことだ(なので、本書を読んで新たな気づきや感動のようなものは特に得られなかった)。思うに著者の凄いところは、部下に対して本部の方針を無批判・機械的に実行することを諌め、自らやるべきことを決めさせたら、(管理統制したい本部に逆らってまで)徹底してやり抜かせたことにあるのだろう。組織や上司に逆らうことになるから、会社を辞める覚悟を持ってないとできないこと。とても腹の据わった大物、ということだ。
「点ではなく面で売っていかなくてはならないビール営業」、「ビールは情報で飲まれている」、「お客様にキリンを選んでもらうには、キリンビールを飲むことに自信をもってもらうこと…その自信の裏付けになるものは「メジャー感」「元気感」「売れている感」「安心感」」など、ビール業界独特の販売・消費セオリーも読んでいて面白かった。
著者は、「感覚的なものですが、何か宇宙の大きな温かい力に強く後押しされている気がしていました。自分の成績のためにとかではなく、高知の方に美味しいキリンビールを飲んでいただき喜んでいただくこと、途中からこのことだけに集中したことから目に見えない力の後押しを受けたのではないかと思っています。」 と不思議体験も綴っている。こうしたスピリチュアルな体験にも興味あるなあ。
- 感想投稿日 : 2020年10月22日
- 読了日 : 2020年10月21日
- 本棚登録日 : 2020年10月21日
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