図書館より。
十六年前に起こった殺人事件を巡り、事件の犯人と思われる死刑囚の父親と被害者遺族が真相を探る社会派ミステリー。
死刑と冤罪という重厚なテーマに対ししっかりとした作家さんの考えが見えて、読んでいるこちらとしても考えさせられるものがありました。確かに自分も作中の登場人物の言葉通りあまりにも簡単に死刑のことを考えているのかもしれません。
ミステリーとしてはラストの展開にきちんとついていけるかが楽しめるかのポイントとなりそう。結構人間関係が分かりにくくなってしまったので、ラストの解決のシーンですっと驚けなかったのがちょっと心残り……説明を読んで一拍を置いてから「ああ、そういうことか」と気づけた感じだったので。
終章が自分の中ではとても印象的に残っています。劇の台本調に語られる分余計にインパクトもあり、もの悲しさが残すあたりも巧いなあ、と感じさせられました。
それと持田のキャラがとても好感が持てたのもよかった。口は悪いけどいいやつ、というべたなキャラなんですが、なぜだかとても温かみを感じることができました。
第29回横溝正史ミステリ大賞〈大賞〉〈テレビ東京賞〉
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー・サスペンス
- 感想投稿日 : 2012年4月30日
- 読了日 : 2012年4月30日
- 本棚登録日 : 2012年4月20日
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