天下統一を目前に控えた豊臣家は北条家に対し軍を投入する。北条家に仕える成田家も例外ではなく、豊臣軍の石田三成の2万を超す軍勢に城回りを囲まれ降伏を要求される。領民からでくの坊を縮めて「のぼう様」と呼ばれる城主、成田長親が下した決断とは。
前半は史実部分の記述が多いため少し読みにくさはあるものの、三成軍が降伏を要求するあたりからはするすると読めました。
のぼう様こと長親のとぼけっぷりと、狙ってやっているのか、やったことがたまたまいい方に転がっているのか分からない冴えっぷりは、
奥田英郎さんの小説の精神科医、伊良部に通ずるものがあるような気がします。
リーダーが頼りない方が、周りがしっかりするからいい、なんて話も聞きますが、長親のリーダー像はその典型かもしれないですね。
印象的な場面は、長親が開戦を決意する場面。長親の”世の習い”に背を向ける叫びは、現代人の叫びに通ずるものがあるような気がします。だからこそ、子どもっぽく開戦を叫ぶ長親に自分も感情移入してしまいました。
長親以外のキャラもいいです。丹波をはじめとした武将たちや甲斐姫のやんちゃっぷり、また三成の微妙な立場や性格もしっかりと描かれています。和田竜さんの歴史物は本当にキャラ付けが上手いなあ、と思います。
下巻からいよいよ長親を総大将とする忍城軍と、三成軍が激突です。
第6回本屋大賞2位
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説・歴史小説
- 感想投稿日 : 2015年3月17日
- 読了日 : 2015年3月17日
- 本棚登録日 : 2015年3月16日
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