目下の恋人 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社 (2005年7月12日発売)
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本棚登録 : 588
感想 : 62
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 男女の様々な恋愛模様を描いた短編を中心に10編収録。

 恋愛小説はかなりの読まず嫌いだったのですが、最近この本の著者である辻仁成さんのお話を聞く機会があり、それをきっかけでとりあえずこの短編集を読んでみました。

 読み始める前は性愛描写が多いんじゃないか、とか読みにくいんじゃないか、とかいろいろ不安だったのですが、読んでみると読みやすく性愛描写も多くなかったので、思ってた以上に親しみやすい本でした。

 『優しい目尻』や表題作の『目下の恋人』はなんとも可愛らしい恋人たちの物語でとても優しい気持ちになりました。

『君と僕のあいだにある』『愛という名の報復』は9.11の発生時に夫妻の危機を描いた話。世界が一変した日と日常が一変した日を不思議なコントラストで描いたどこか印象的な話でした。『愛という名の報復』の妻の最後の一言がいつか世界に共有されたらいいな、と思います。

 一人の女性の刹那的な恋愛を描いた連作も収録されているのですが、これは感情移入しにくかったなあ。ただ読んでいるうちにこういう生き方しかできない人もいるのかもしれないなあ、とも思わされました。
 この連作については恋愛小説というよりかは、「なんでそうなっちゃうの?」という喜劇の小説として読んでいたかもしれないです。恋愛ってはたから見たらそういうものなのかもしれないなあ、とちゃんとした恋愛をしたことのない自分は思いました
 。きっとそれぞれの立場でこの女性への見方というものは全然違うのだろうなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸・文学・群像劇
感想投稿日 : 2013年12月14日
読了日 : 2013年12月11日
本棚登録日 : 2013年12月8日

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