薔薇の名前〈上〉

  • 東京創元社 (1990年2月18日発売)
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 修道士のウィリアムとその弟子アドソは、調停役として、二つの会派で起こった論争の調停が行われる巨大な文書館を持つ修道院を訪れる。しかし、そこで殺人事件が発生。二人は事件の調査に乗り出すのだが…。

 上巻読み終えた時点での感想ですが、最も印象的なのは夜にウィリアムとアドソが迷宮のような文書館に足を踏み入れるところ。これはRPGゲームで、未知のダンジョンに足を踏み入れた時のようなワクワク感がありました。

 謎めいた本に古代文字を使ったメッセージがまず最初に現れ、手に持った灯りだけを頼りに広大な文書館に足を踏み入れれば、そこに広がるはたくさんの書架。巧妙に計算され建築された文書館は、歩いていると方角が分からなくなり…

 文書館の探索の場面はそこまでページ数が割かれているわけでもないのですが、作中でウィリアムが時間の感覚が無くなってきた、というように、読んでいる自分も本を読んでいる感覚がマヒしてきたというか、
このレビューを書くのに、改めて探索の章をパラパラとめくってみると、思っていた以上その場面のページ数が少なくてびっくりしました(笑)。それだけ、満足感が高く内容の濃かった場面だった、ということだと思います。

 そして二度目、アドソが一人で文書館に向かうシーンも印象的。そこでアソドが導かれるように本に出会い、また一人の少女と出会うシーンの幻想的かつ美しい。その場面と文章に魅せられてしまいます。

 正直なところ、作中の宗教関連の話は半分以上頭に入ってきません(笑)。それでも読ませるのは、やはりこの作品の引力が相当なものだということだと思います。下巻はどうなるのかなあ。
 
1991年このミステリーがすごい! 海外部門1位
このミステリーがすごい! 海外部門ベストオブベスト1位

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・サスペンス
感想投稿日 : 2015年11月7日
読了日 : 2015年11月4日
本棚登録日 : 2015年10月26日

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