隣の病い (ちくま学芸文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2010年3月12日発売)
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本棚登録 : 142
感想 : 7
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ちくま学芸文庫の中井久夫さんのエッセイシリーズで、読み残していた最後の一冊。
2ページなど、非常に短い文章が集められていて、バラエティに富んでいる。さすが、何を読んでもあいかわらず鋭い知性がきらきらと輝いているし、学識の広さに驚く。
巻末のほうには現代ギリシャ詩についても詳しく書かれている。
このように卓抜した知識と鋭利な思考をもっていながら、理論そのものに深入りせず、「臨床医」としてのスタンスを決して逸脱しないところが中井さんの凄さだ。「治療」という技術へすべて生かされてゆくのだから、精神医学上の多様な諸説も折衷的に取り入れられる。
こんなに該博でしかもバランスの取れたお医者さんも、そうそういないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 精神医学・心理学
感想投稿日 : 2012年12月23日
読了日 : 2012年12月23日
本棚登録日 : 2012年12月23日

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