冒頭から「多分『まとも』な人間ではないのだろう」と感じた主人公が、進めば進むほど狂気性を増していく。
このまま「ああ、頭のおかしな人間の様を見る話なのだな」というところで終わらせてくれないのが恐ろしいところで、過去をやんわりと見せつつ終盤畳み掛けるような展開の中で、ふと主人公と感情を分け合えるような場面も出てくる。『銃』を読んだ時も思ったが、「もしかしたら、明日私はこちら側の人間になってしまうかもしれない」と思わせる瞬間を見せながら崩壊していく主人公にいつも翻弄されている気がして読後放心してしまう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年2月2日
- 読了日 : 2023年2月2日
- 本棚登録日 : 2022年12月30日
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