「ムネオハウス」などの疑惑で逮捕された鈴木宗男と佐藤勝の両氏が対談形式で外務省の病理、裏側を暴露する。大勢の外務官僚が実名と写真入りで登場し、大丈夫なのかと心配になるほど赤裸々だ。
ここで取り上げられている事件がマスコミを賑わしてた頃はあまり政治に興味もなかったので、何かスキャンダルらしきことで騒然としていたことはぼんやりと覚えている程度だ。しかし結局誰が何をしてどういう罪になったのかはっきり聞いた覚えはないので、彼らが言うように“国策捜査”だったのかもしれない。
彼らがここで述べていることが真実かどうか知るすべも無いので評価はしづらいが、本当だとしたら日本の将来はかなりみっともないものになるだろう。昔に比べて日本が精神的にも凋落していることは産業界について常々感じているので、官僚がそうだとしても驚くに当たらないと思う。
謀略に関する話を読むと、現在進行形で起きているテーマについても疑心暗鬼になってくる。折しも防衛庁関連で汚職が取り沙汰されているが、果たして誰がどこまで真実を語り、どんな着地点が用意されていることか。
ただ本書を読んでひとつ足りないと感じたのは、今後の世界についてグローバル化による影響には触れられていない点だ。政治家と官僚という肩書きを持つ彼らは冷戦終結によって世界情勢が変わったという点までは認識しているものの、その世界理解はあくまでも「国家」を中心としたものに留まっている。国家に比肩しうる影響力を持つ「多国籍企業」の台頭をどう見ているか、そこが気になった。
- 感想投稿日 : 2007年12月24日
- 読了日 : 2007年12月24日
- 本棚登録日 : 2007年12月24日
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