アートと言っても色々あって、私が好むのは演劇やダンスなどのライブパフォーマンスと呼ばれる系統なのですが、本書で扱われているのは絵画や彫刻などのモノ系統が中心。やはり「経済学」の俎上に載せることができるのは持ち運びできるモノが中心なのでしょう。もちろん演劇だってお金は動きますが、資産として保有したりオークションにかけるのは無理です。
本書で扱われる現代アートはそれこそひとつ何億円、何十億円という値がつく作品であり、どこの経営者が美術館を建てたとか、自治体が誘致して展覧会を開いたとか、大きな話が目白押しです。あまりにも大金が動きすぎて自分には全然縁がないとしか思えないのが残念なところ。
そして時代を反映して、中国人富豪の名前が多数挙げられています。一代で築いた莫大な富で高価な美術品を買うというのは成金趣味的にも思えてしまいますが、そういう人達がいるからこそ支えられている市場なのでしょう。そこで日本のプレゼンスの低下を危惧している部分もありますが、まあ、やむをえないと思います。
著者の宮津大輔氏は、一般企業に勤める会社員でありながらアート・コレクターとして業界でも有名な方とのこと。一体どんな仕事をしているのかと下世話な興味を抱いてしまいます。
ところで本書の少し変わった所として、中国人の名前を中国語発音のカタカナ書きと漢字を併記している点が挙げられます。漢字圏同士での固有名詞の表記については色々な主張がありますが、これはひとつの提案なのではないでしょうか。
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- 感想投稿日 : 2017年6月26日
- 読了日 : 2016年4月17日
- 本棚登録日 : 2017年6月26日
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