天使のせせらぎ (ヴィレッジブックス F ハ 2-2)

  • ソニ-・ミュ-ジックソリュ-ションズ (2002年4月1日発売)
3.34
  • (3)
  • (12)
  • (34)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 100
感想 : 11
3

とても魅力的なヒーロー、なんてことはなく、どちらかといえば最低なヒーロー。もともと妻に求めるものは従順で自分の支配下に置けることだけ。そんなヒーローが出会ったのが、一人で菜園を切り盛りし独立心旺盛で自立したヒロイン。そしてそのヒロインの農場を流れているエンジェル・クリークは、土地の人々垂涎の干魃でも枯れない奇跡の川。もちろんヒーローも欲しい。<br>
南北戦争が終わりコロラドが州に昇格するころの物語なので、バリバリの男尊女卑時代ではあるわけだけど、それにしてもこのヒーローの傲慢で自己中心的な考え方は苛つく。ヒロインと関係するにも最初から決めつけているし、なおかつ最初は結婚を考えてもいない。ただ楽しめそうというだけ。どうしてこんなヒーローにヒロインが惹かれたのか、理解に苦しむ。でもヒーローなりにヒロインを思っていること(自分に都合良くだけど)は伝わってくるので、釈然としないまでも許せるか、な。でも、勝手に堰を作るのはさすがにやり過ぎ。ヒロインじゃなくても憤る。そのことにヒーローが気付けて良かった。というか、ヒロインも自分と同じ自立した個であり、決して他人に迎合しない人間であることになんでもっと早く気付かなかったかと。<br>
そしてサイドストーリーとして展開するヒロインの親友とメキシコ人ガンマンの恋。こちらは本編と違って激しいやりとりはなく、淡々と恋が進む。その穏やかな恋模様はヒーローvsヒロインの戦い(!?)の清涼剤のよう。またヒロインの農場を襲った牧場主と売春婦のやりとり。こちらは秘めた恋とでも。もちろん牧場主の行為は褒められないけれど、愛してくれる女性がいて良かったなあ、と思えるのは売春婦のキャラ故か。<br>
とにかく腹の立つヒーローだけど、堰が爆破されたシーンで胸がすく。もっとも簡単に結婚は承諾しないで、菜園が元に戻ったら、くらいは言って欲しかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 強引ヒーロー
感想投稿日 : 2008年10月31日
読了日 : 2008年10月31日
本棚登録日 : 2008年10月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする