遁走状態 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社 (2014年2月28日発売)
3.73
  • (23)
  • (32)
  • (27)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 504
感想 : 55
4

「私」は気づけばもう「私」でなく、日常は彼方に遁走する―
(クレスト・ブックスの帯のキャッチ)

エヴンソンが繰り出す世界は、読んでいると脳みその後ろから襲ってくる。
妄想なのか現実なのか、寝ているのか目が覚めているのか、生きているのか死んでいるのか、あなたなのかわたしなのか……。

いったいなんだ、これは!
あまりに理解困難で、読み始めてから100ページほどで読めなくなった。
決して「つまらない」訳ではない。
向き合う覚悟が途切れてしまった。

すこし他の本に浮気したあと再び向き合うと、とたんにその世界に引き込まれていく。

読後に振り返ってみると、独特で比較できるものがなく面白いのかどうかすらわからない。
訳者柴田元幸氏のあとがきによると、エドガー・アラン・ポーやスティーヴ・エリクソンなどを挙げて傾向を解説している。

まだ短編であったから、ぶつ切りでも読み切ることができたけど、長編だったら「途中で放り投げる」か「没入して帰って来れない」ことになったかも。

とにかく不思議な読書体験でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2022年10月21日
読了日 : 2022年10月21日
本棚登録日 : 2022年3月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする