低地 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社 (2014年8月26日発売)
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本棚登録 : 567
感想 : 65
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親子というものは奇妙な関係である。
「家族」というくくりは、子どもが独り立ちするまでは確かにあった。
が、その後の「家族」には後悔や苦悩、時として束縛の香りすらする。

スバシュとウダヤン、1940年代生まれの西ベンガルの兄弟。
弟は凶弾に倒れ、アメリカで暮らす兄は弟の妻と子を引き取る。

物語は兄弟や妻ガウリ、その子ベラの視点で、様々に揺れ動く感情を、淡々と描く。
三人称だが、短いフレーズでそれぞれの想いがよく伝わる文章。

作者ラヒリは、これまで描いた「インド系移民」というテーマはやや離れて、人間ドラマの色合いの強い物語をかたる。

60年代に吹き荒れた「革命」という熱病、家庭という伝統の崩壊、それでも関わっていく人々の長いドラマを、舞台となる土地の様子とともに、痛々しくも清々しく、味わうことができた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2024年1月15日
読了日 : 2024年1月15日
本棚登録日 : 2023年12月26日

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