子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2014年1月22日発売)
3.86
  • (22)
  • (32)
  • (22)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 504
感想 : 38
5

・母子世帯は124万世帯、父子世帯は22万世帯、子どものいる世帯数は1180万世帯。貧困の子どものうち、ひとり親世帯に属するのは2割程度と言われている

・貧困であることは、「生活に必要なお金が足りない」という物質的な困窮、「来月の家賃が払えるか?」というような生活の不安・不安定さのみではなく、負け組であることも加わった心理的ストレスがダブルパンチ

・先進諸国においては、自然に貧困層に「トリクルダウン」するわけではない。日本は、GDP比で見る品高層への社会支出は極めて小さいのである。そもそもが貧弱な貧困対策なので、GDPの増加と同じ比率で増加したとしても、急激にその貧困削減効果が大きくなるわけではない。

・日本は、子どもの教育における私的な負担の割合が、OECD諸国の中で最高

・習い事でチームプレーの経験や、アートや自然を吸収できる。一昔前であれば、お金がなくても近所の付き合いで身につけられていたが、現在に置いてはお金で買うものになってきている

・海外の研究によると、相対的貧困の子どもに対する一番大きな影響は、親や家庭内のストレスがもたらす、身体的・心理的影響だという。
慢性的になったとき、ゆとりを持った子育てなど、とうていできなくなってしまう。情緒的、非認知能力の成長を止める。

・母親の帰宅時間が18時を超える母子家庭は5割、20時以降の母子家庭も1割ある。

・どのような子どもを対象とする普遍的制度・普遍主義と、貧困の子どもに対象を絞る選別的制度・選別主義に分かれる。

・川上対策と川下対策

・乳幼児期に貧困を経験した子どもは、その後世帯の状況が改善して、貧困から抜け出せたとしても、乳幼児期の貧困が悪影響を及ぼす可能性が高い

・公的年金の給付を除いたら、子どもの貧困率の逆転現象は起こっているのである。

・格差をどこまで解消すべきかという問いには答えがないが、貧困は撲滅すべき目標となる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月18日
読了日 : 2021年11月18日
本棚登録日 : 2021年11月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする