ドキュメント戦争広告代理店: 情報操作とボスニア紛争

著者 :
  • 講談社 (2002年6月1日発売)
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感想 : 65
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★縁遠い世界に引きつける鮮やかな切り口★旧ユーゴスラビアを巡る紛争はたまに振り返ってみるがいつも理解できない。今更ながら読んだが、ボスニア・ヘルツェゴヴィナとセルビアに焦点を絞ったことで理解しやすい。なじみのない構図を簡潔に示す構成力がまず素晴らしい。

PR企業が自らの成果を誇らしげに協会に提出して受賞しており、そのデータを読み込んで担当者に取材。ある種の必要悪のような立場として、戦争の現場から離れたところで国際世論が形作られることを指摘する。きっとウクライナにもこうした企業がついているのだろう。東京五輪でもめた電通がどれだけの力を持っているのか。ぜひ誰かに分析してほしい。

著者は「PR企業」としか書いておらず、NHKの放送でのタイトルは「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」だった。書名で「戦争広告代理店」としたのは講談社の編集者のさすがのセンス。一気に身近になる。サブタイトルも「情報操作とボスニア紛争」であって、聞きなれない地名は最後に持ってくるのがうまい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2022年11月6日
本棚登録日 : 2022年11月4日

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