脳が壊れた (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2016年6月16日発売)
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★回復記に感じる「面倒な人」との共通点★漫画「ギャングース」を連載中に読んでいるとき、そういえば原作者が脳梗塞で、というのを見た気がした。40代で脳梗塞を発症し、その後の変化を体験記として記す。自分を対象としたルポで、あえて病気の深刻さを和らげようとしているのだろうが、筆致が柔らかく読みやすい。
 何よりも本書がただの回復記とは違うのは、筆者の専門が貧困で、そのときに出会ったやりとりができない人々の様子に自分を重ねることだろう。著者は赤ん坊に戻ったように感情の抑制が効かなくなる。取材相手のことをコミュ障の面倒くさい人だと思っていたが、自分が同じ状況に陥ってみて、そこには脳の問題もあったのではないかと分析する。発達障害は先天的なものかもしれないが、貧困のなかで育つと発達の凸凹をより悪化させるということなのか。もちろん脳梗塞は場所によって差は大きいだろうが。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2019年10月6日
本棚登録日 : 2019年10月6日

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