ここ最近、平日は池袋・ジュンク堂に日参しています。
その中に設置されているカフェで出会ったのがこちら。
といっても、本そのものが置いてあるわけではなく、
とある雑誌での、著者の北村さんと華恵さんの対談にて。
“年を経ていくごとに繰り返して読みたい”、
そんな風に語っておられたのがなんとも印象的で。
主人公はアラフォーの編集女子、副編集長からそろそろ長に。
役を持たない若いころは男性上司を、文字通り泣かしたことも。
基本的には不器用で、ただひたむきに仕事を積み重ねてきた、
それが故に“恋”もうまくこなせずに、未だに一人。
そんな“強い”主人公が、日常から逃れるためにいくのが“山”。
その山登りの様子が、5編からなる連作短編としてまとまっています。
徐々に責任のある立場になっていくことで、
若いころのように“自由”に仕事ができなくなるジレンマ。
それ以上に自分の思い通りになることが無い自然の中で、
その自然の美しさや一期一会の奇跡に魅入られていく主人公。
なお、山歩きの際に必ず“文庫本”を持参するとの設定が、
個人的には何とも素敵だなぁ、、と感じてしまいます。
主人公の職業柄、“本”からは離れられないのでしょうが、
ある意味そんな“仕事道具”を、非日常でどう昇華するのか。
“ずっと本と一緒だった”
そんな風に本への想いを綴っているのは、華恵さん。
そのエッセイ集、『本を読むわたし』の中にて。
これを狙っての対談であったとすれば、私は見事にやられました。
日常と非日常をつないでくれるのが“本”、
ケでもハレでも、自身の軸を思い出させてくれる、
私にとっての本とはそんな存在なんだなと、あらためて。
久々に人生唯一のトラウマに囚われつつあった自分を、
現実に引き戻してくれた、そんな一冊でもあります、なんて。
- 感想投稿日 : 2014年6月11日
- 読了日 : 2014年6月9日
- 本棚登録日 : 2014年6月9日
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