東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2012年12月24日発売)
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感想 : 463
5

十二国記完全版・エピソード3、「延王尚隆」の始まりの物語。
景王陽子の時代から遡ること約500年、戦国時代初期に滅びた小松氏の御曹司が主人公。

元は20年近く前に描かれた、ヤングアダルト向けの物語ですが、
今読んでも変わらずに面白く、一気に読んでしまいました。

延王も延麒も胎果の生まれで、何かを失くした「彷徨い人」、
『風の海 迷宮の岸』での泰麒との縁もこの辺に起因してそうです。

 「俺はお前に豊かな国を渡すためだけにいるのだ」

その尚隆、昼行灯のようでいて、締めるところはしっかりしていて。
「国」を担うということの責任と想いがズッシリと伝わってきます。

その重みがあるからこその、終盤へのカタルシスはやはり、うまいなぁ、、と。

そうそう、麒麟と「血の穢れ」の相関性を描きたかったのとは思いますが、
結構容赦なく人が逝くのは、この頃の小野さんらしいといえばらしいような。

ん、治世の永久はあるのかないのか、、この先描かれることはあるのでしょうか。
500年後にも安定していることを知っているだけに、、さて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2013年1月11日
読了日 : 2013年1月4日
本棚登録日 : 2012年12月22日

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