バイオパンク DIY科学者たちのDNAハック!

  • NHK出版 (2012年2月21日発売)
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本棚登録 : 380
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アップルのコンピューターはガレージから生まれ、リナックスはオープンソースと言う新しい取り組みでプログラムを進化させた。バイオテクノロジーと言うと閉ざされた世界というイメージだが、バイオハッカーはコンピューターとバイオテクノロジーは似ているという。DNA検査はガレージで出来るし、ヒトゲノムのような遺伝子情報もオープンソースにしたほうが解読が進み世界に貢献すると言う立場だ。
今では自分の遺伝子情報を調べたければ、キットを買って綿棒で口の中をこすりそれを送るだけで出来る。さらにはDNAを複製することはそれなりの専門知識があれば自宅ででき、ケイ・オールは中古のサーマルサイクラー(温度を上げたり下げたりを繰り返す装置、炊飯釜と大差ない)100ドルちょっととwebで注文したDNA断片で自分で遺伝子検査を行った。
遺伝子組み換え作物に関するエピソードではインドの農民がモンサントの足元をすくった話が面白い。Btコットンと言う害虫を寄せ付けない成分を作るようになった綿はインドでは禁止されたが、ある種子はBt遺伝子を含んでいた。この種子を売った会社、インド政府、モンサントそれぞれの言い分に関係なく農民たちはこの種子をさらに交配させ元々のBtコットンより安くBestコットンという名で売られ続けている。インドでは遺伝子は特許性がなく政府もなすがままに遺伝子組み換え綿を承認し、Bestコットンは農民たちの共有財産となった。
バイオテクノロジーに対しては強硬に反対する人も多い。この理由は宗教的なものと、知らないものは怖いと言う心理、また新しい技術に対して慎重な立場などが有りそれぞれの言い分も理解はできる。しかしイノベーションは必ず起こるし一度起こればインドの農民同様成果を享受するだろう

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医学
感想投稿日 : 2013年2月19日
読了日 : 2012年5月31日
本棚登録日 : 2012年5月31日

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