間違える医者と間違えない医者はどこが違うのか。
研修生チームの指導医としてある時彼らが的を得た質問をしたり、注意深く相手の話を聞いたり、するどく観察することに関しては、ほとんどが落第生だったことに気づき医師達の思考法を理解することが誤診の頻度と重度を軽減できると考えたのがこの本を書くきっかけになっている。医師が考える時に患者やその家族の助けが必要になるため本書は素人向けに書かれている。
最近ではアルゴリズムとディシジョンツリーを使った診療ガイドラインを導入して医学生などの教育につかわれている。効率性は上がるが統計は必ず例外が有るし、無条件に受け入れると思考が停止する。
直感力を磨くのはいいことのように思われるが過度に依存するのはやはり危ない。
時間が限られる中で判断する以上間違いは起こり得る。しかし、医師と患者が協力する事で認識エラーを減らせるというのが本書の主張だ。
もし患者になった場合に医者の助けになる質問がいくつか挙げられている。
「私の病気は最悪の場合は何ですか」「症状が起きているこの患部の周りには他にどんな臓器があるのですか」こういった質問は医師に他の可能性を喚起することになる。
「他に何が考えられますか」「辻褄が合わない点が有りますか」「私の問題はもしかして一つだけではないのでは無いですか」
NHKのドクターGを見ていてもベテラン総合診療医は研修医達に同じような質問をしている。
間違える医者の思考法を見て思ったのは間違える研究者(やマーケターや営業や・・・)と同じパターンが見える事。インスタントな結論に飛びつき辻褄の合わない点は何かの誤差として無視をする。再検査や再実験は時間やコストの無駄に思えることもあるが立ち止まって考える時間は必要である。
ちなみに間違える碁打ちも同じパターンにはまることは身をもって分かっている。orz
- 感想投稿日 : 2013年2月19日
- 読了日 : 2012年6月20日
- 本棚登録日 : 2012年6月20日
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