きりひと讚歌 (1) (小学館文庫 てA 1)

著者 :
  • 小学館 (1994年11月17日発売)
3.76
  • (59)
  • (59)
  • (102)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 520
感想 : 56
4

久しぶりに手塚治虫のマンガを読んだ。
医学博士でもある手塚治虫にしか書けないようなマンガである。
まず、ストーリーが面白い。自己の利益のために他人を利用する老害たち。若者にも打算や嫉妬はもちろんある。しかし、老害たちの狡猾さに比べれば、若者は医者としての正義感と理性に突き動かされている。
本作の根底にあるのはキリスト教だ。主人公の桐人はキリストから取っている。
手塚治虫の『ブッダ』を以前読んだ。仏教に対する造詣が特段に深いという印象は持たなかった。またブッダの画が仏像的で違和感を持った。
本作は『ブッダ』の前なのか後なのかは知らない。
しかし、人間の業を手塚治虫が得意な医学の世界で描いた本作の方が成功しているように思う。
あとがきは養老孟司氏。このあとがきがまた深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 手塚治虫
感想投稿日 : 2018年3月14日
読了日 : 2018年3月14日
本棚登録日 : 2018年3月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする