文系学部解体 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月10日発売)
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本棚登録 : 209
感想 : 30
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最後まで読んでみるとタイトルがミスリードであることが理解できる。正しくは「国立大学の文系学部解体」であって、少なくとも本書では私立大の文系学部に対する文科省の施策はほとんど語られていない。戦前の旧制大学のほとんどが理系学部しかなかったことは知らなかったが、確かに今や文系学部の授業料は国立と私立とでそんなに差がないわけだから、人文系の学問を学びたければ私学に行けばよいとの文科省の考え方は理解できなくもない。国立大に文系学部を残せという主張は、国立大の授業料をもっと安くしろ、という主張とセットでないと説得力がないわな。
残念ながら本書で語られている事(施策がうまく行っていないとか、成功した例がないなど)が事実なのか著者の単なる感想なのかが事実で検証されていないので、全体として著者のノスタルジーとルサンチマンにしか聞こえない。もう少しロジカルに論を進めないと著者のお仲間以外には広く共感は得られないと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会時事
感想投稿日 : 2022年1月11日
読了日 : 2022年1月10日
本棚登録日 : 2022年1月9日

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