渾身のルポ。といっていいと思う。
エロ系ドキュメンタリーかと思って読んだら違った。
いわゆる底辺の色街の話。流れ着いた女の子たち、経営者、組合員たちの街への愛憎が切ない。
それにしても体当たりの取材がすごい。400枚の手製のビラまきだの、ヤクザに一人で乗り込んでいくだの、「もしやられそうになったら私がやるから」っていって友人に協力してもらうだの。何もないところから、海千山千の組合員の信頼をよく勝ち取っていったなあと思う。
関係ないが、「売る女」「仲介人」の気持ちは、いわゆる従軍慰安婦の気持ちを理解する手がかりにもなると思った。明治期以降、東北などの田舎から売られてくる女の子たちの話は哀しい。
進歩的な女性が売春防止法を成立させようとするが、なくなって一番困るのは女性、という図式とかね。
ソープランドやヘルスより、このほうが男女とも手間いらずでいいんじゃないの?って思ったり。
街の歴史とともに、女性の意識変化、貧困の連鎖など社会的なことも考えさせられる作品だった。
そして、解説桜木紫乃か!で笑う。すごく好きそうだもんなあ。井上さんと感性が似ている気もする。ふたりの会話を、ファミレスの後ろの席で聞いていたい。
桜木さん、いつか、ここを舞台にした、したたかな女の小説書いてください。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2015年10月11日
- 読了日 : 2015年10月11日
- 本棚登録日 : 2015年10月11日
みんなの感想をみる