銀漢の賦 (文春文庫 は 36-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年2月10日発売)
3.94
  • (108)
  • (210)
  • (100)
  • (16)
  • (1)
本棚登録 : 1276
感想 : 123
5

江戸時代後期、徳川吉宗の時代。町道場で知り合った身分の異なる3人の若者は、「銀漢」と呼ばれる天の川の下で友情を誓い合う。なんとなく三国志の桃園の誓いを思い出すが、3人の生き様は劉備・関羽・張飛とは全く異なる。

時は流れ、3人は成人し、藩の不正問題に巻き込まれる。その後、1人は農民一揆の首謀者として死刑に処され、それをきっかけに藩の役人である2人は意見の対立から絶交。さらに年月が経ち、再び藩に不正問題が持ち上がる。

2人の死をかけて藩を救おうとする武士道が美しい。その決意を買い物でも行くかのように、あっさりと受け入れるのは、友と話し合えたからだろう。長い絶交時代があっても、幼い頃の友情はすぐにもとに戻るし、亡くなった友を笑いながら思い出せるのも友情があるから。

老いてからの友のありがたみを痛感し、清々しい読後感。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史モノ
感想投稿日 : 2019年11月28日
読了日 : 2019年11月28日
本棚登録日 : 2019年11月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする