STAP細胞という妄想が引き起こしたのは、不毛な争いばかりじゃない。日本の科学界がいかにお粗末で、パクリだらけの論文を提出する学者たちと、それをチェックできない学界の無力・無知が明らかになったことは、不幸中の幸いだろう。
そんな腐敗した学界は今にはじまったことではなく、内情はもっともっと腐りきっていると、現役研究者が説いた怒りの本書。なかなかの過激さで、小保方氏はもちろん、理化学研究所所長の野依良治の脱税問題や野口英世の不確かな功績までもバッサリ切ってしまう。研究者らしからぬ思い切りの良さだ。そのあまりの暴れっぷりで、説明不足の点がやや気にかかるが、日本の学界の主義のなさに比べれば、許容範囲だ。
特に同意するのは、STAP細胞騒動を小保方氏一人の責任にして、理研や共同論文著者の責任が問われずに片付けられようとしている現状に、著者が警鐘を鳴らしている点。これだけの問題を若い下っ端研究者の暴走で片付けてしまっては、日本科学界は世界からも世間からも取り残されてしまうだろう。自殺した小保方氏の上司だって、死者に鞭打とうとも、責任を明らかにされるべきだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
雑学
- 感想投稿日 : 2014年12月12日
- 読了日 : 2014年12月12日
- 本棚登録日 : 2014年12月12日
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