思い出の品なんてくだらない。そんな品物は、かつて目の前で過ぎていった時間をいかに理解していなかったかの証明にしかならない。
目の前の時間に我を忘れる代わりに、つまらないガラクタをせっせと積み上げ続けるなんて。
思い出の品など、二度とは戻らない日々がどれだけ貴重だったか、その価値を理解できていなかった証だ。
目の前にあったのに気づかなかったこと、答えられなかった問いかけ、届かなかった手。失われた何もかもを悼んでいる。でも、何が失われたのだろう。
本当に大切なことは、瞼の裏に焼き付いている。耳の底に残っている。その香りを覚えている。
一日だけでも、生きるということは本当に危険なこと。
永遠に続く哀悼と一緒に生き続けることもできる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
衣食住
- 感想投稿日 : 2014年3月2日
- 読了日 : 2014年3月2日
- 本棚登録日 : 2014年3月1日
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