ダブリン市民 改版 (新潮文庫 シ 3-1)

  • 新潮社 (1971年10月1日発売)
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感想 : 23
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ネタバレ ◆出版100周年。◆ダブリンという街に住む人々の群像。まとわりつく古き良き故国。学校・職業・政党・宗派 …。何につけても存在する「育ち」の階層によってがんじがらめにされる人々。押しつぶされそうになり、自尊心と自意識は閉ざされた自己の内にたぎる。麻痺した者への侮蔑と麻痺していく自己への不安。◆各断片の主体と相似した人物が、他の断片にも登場・配置される。老若男女のかすかな声が重なり合い、荘厳な和声音楽のよう。やがて全ての主体はモブに吸収されていく。あとはただ、ダブリンがあるだけ。
◆LIKE: Eveline/A Little Cloud/Clay/A Painful Case/A Mother/The Dead
◆岩波文庫結城訳・旧新潮文庫安藤訳・新潮文庫柳瀬訳3冊読み比べ。
◆今回読んだなかで唯一の旧訳(1971改訳)であったが、特に読みにくさなどは感じなかった。解説についても、註についても(特にカトリックとプロテスタントなどの違い)、大変参考になったし、旧訳ならではの硬質な美しい表現も多々あった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2014年8月28日
読了日 : 2014年8月28日
本棚登録日 : 2014年8月28日

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