生きることを学ぶ、終に

  • みすず書房 (2005年4月22日発売)
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本棚登録 : 99
感想 : 7
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 デリダの最期の(公的)発言。この本のデリダを読むときなぜか涙を禁じえなかった。なぜだろうか。それは、ここに素の、私的なデリダを感じたからかもしれない。デリダ自身が言ったように、「これは死亡告知だ」からかもしれない。いってみれば、辞世の句のような。。
 例えば、「フランス語の歴史に痕跡を残すこと、私の関心はそこにあります。」(P.41)という発言がある。ここから、そういう欲求があるものなんだな、としみじみしてしまったり。また「このテクストでデリダは、どうしても病のことに触れたがった。そうするのは、これが最初で最後になるという予感があったのだろうか。そのように思われる」(P.12)と書いている。

残念ながら、この本を理性として解釈することが今の自分ではできないから、ここで筆をおくけれども、デリダという人となりを知るには最良の書かもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年1月10日
読了日 : 2010年12月27日
本棚登録日 : 2010年12月27日

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コメント 1件

オーワダ125さんのコメント
2011/08/02

【再読記録(1回)の続き】生の付与が作品に命を吹き込むのであれば、ある作品に価値を置くという事はその作品中の命を感知することで行われることになろう。では、その命をどうやって我々は感知するのだろうか。そもそも、それぞれの人間で、価値の置き方が異なるのはどうしてだろうか。この問い(特に後者)への解は、SartreやBatailleによるJean Genêtの解釈をヒントに得られるような気がしている。

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