ローマ人の物語 (37) 最後の努力(下) (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2009年8月28日発売)
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四頭政治後のConstantinus 帝の政策、おもにキリスト教に焦点をあてている。
Constantinus は大帝と敬称がつくとおりキリスト教徒側から見てみると歴史上、もっとも重要な人物の一人である。

彼はキリスト教を公認(ただし、国教とまではせず弾圧されていたキリスト教についにてローマ帝国民に宗教の自由を与えた)し、その後にニケーア公会議にてアタナシウス派とアリウス派のどちらを正当とするかの論争に決着を付けた。この会議により、イエス・キリストの神と同一視できるという三位一体説が現在に至るまで正統とされている。

Constantinus がなぜ当時のキリスト教弾圧の政策を180度転換し、一転して容認するようになったのかは本書でも十分には語られていないし、今もあまりよくわかっていないそうだ。

彼はローマ帝国を再統一し、専制君主制の礎を作ったとされるが、正しくはローマ帝国を作り変えてしまったといっても正しいだろう。
彼以前は、主権はローマ帝国民にあったし皇帝といえど元老院の承認によって立法することができたが、彼の治世になっていよいよ立法は皇帝化の勅命という形になった。
後の王権神授説をも考慮すると、どうやら専制君主制というのはキリスト教と親和性が良いらしい。

これから150年後にローマ帝国は滅びることになる。
そろそもこのローマ人の物語も終わりに近づいてきている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2017年7月26日
読了日 : 2017年7月26日
本棚登録日 : 2017年7月13日

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