庵堂三兄弟の聖職 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2010年8月25日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 32
4

2015年、6冊目。
真藤順丈初読み作品。
第15回日本ホラー小説大賞受賞作。
遺体を用いて生活用品を創る「遺工士」という架空の職を生業とする「庵堂家」の男三兄弟の物語。
家業を継いだ長男。家を出、東京でサラリーマン生活をおくる次男。知人の葬儀会社で働くも、暴力衝動を抑えきれずにいる三男。三人は先代である父の七回忌を前に、久々に顔を揃える。
コレを
「ホラーか?」と問われれば。
「No!」と答えるでしょう。
「では、何か?」と質問を重ねられたら。
「エンターテイメントなヒューマンドラマだ!」と答えるでしょう。
「遺工士」という職業柄、スプラッター場面は度々出てくるが、ソレがメインで話が展開して行くのではない。
「生」と「死」が密接に交わる、特殊な環境下での家族(兄弟)再生と成長。それが、三兄弟それぞれの視点を行き交いながら、ホラーはもちろん、喜劇も、悲劇も、ヴァイオレンスも、絡めて進んでいく。
そして、たどり着くのは……。
読後感としては、平山夢明『DINNER』に近いかな?!
……、と思っていたら、巻末解説は、その平山夢明というサプライズのオマケまで付いてきた。
そこまで含め、折に触れ、読み返したくなるであろう作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年1月28日
読了日 : 2015年1月29日
本棚登録日 : 2015年1月28日

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