世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

  • 中央公論新社 (2008年1月25日発売)
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本棚登録 : 4893
感想 : 217
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本当に心から楽しい本に出会った。
常に次の展開が楽しみで、時代が進んで振り返るたびに、川の周りで麦を植えてた人間たちが、よくここまでたどり着いたものだと感じ入る。小さな赤ちゃんが立派に成長していく過程をつぶさに見届けていくような、そういう感動をもたらしてくれる。
そして、それが基本的に全て史実であり、自分がその成長の最新の到達点、つまり現代に生きている。それが小説にない味わいになる。

170624下巻まで読み終わり
読書にそんなに時間を取ってない割にしつこい読み方をしたので、もう半年くらいずっとこの本を読んでいた。で、19-20世紀を最後一気に読んだ。単にそういう読み方をしたせいかも知れないが、1500年以降の下巻は、時代が進むのがとても速かった印象。まぁ、ルネサンス〜宗教改革〜科学〜大航海〜アメリカ独立/フランスの革命〜段階的な産業革命〜一次大戦/戦間期/二次大戦〜独立/冷戦まで、割と改めて勉強しなくてもそこそこ知ってることだからでもあるけど、我々の生きてる時代は決して完成した特別な時代なんかではなく、過去からしっかりひとつずつ進んできた道の上にある、ある一点に過ぎないことがよくわかる。ここ70年ほどひどい戦争がないのは確かにラッキーではあるけど、それは我々が何か完成の域に達したという意味ではない。着実に技術と制度が現代型へと変化してきて、それに伴って今の世界や生活ができてるということ。それ以上でもそれ以下でもない。ただ、そうだとしても、21世紀というのは確かに20世紀とも違うし18-19世紀とも全然違っていて、謎や可能性に満ちてる。その時間を自分が実際に生きてるということに対して、感慨というか感動というか、感覚が改まった。
最後に、素人にもこんなに読みやすい形で、歴史の中での人間の姿を生き生きとイメージさせてくれたマクニール先生に感謝をしたい。彼の死を悲しむ。これだけの物語を語っておいて、あまりにも謙虚かつ前向きなひと言で最後を締めた。

さて、自分は生物学の視点から、この仕事に何をどう積むことができるか?

ところで、翻訳の文章は、すばらしいとまでは言わないが、特に悪い意味で気になりはしなかった。翻訳体の物語を小さい頃によく読んでいたからかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人間の歴史
感想投稿日 : 2017年3月2日
読了日 : 2017年6月25日
本棚登録日 : 2017年1月11日

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