紙屋悦子の青春 [DVD]

監督 : 黒木和雄 
出演 : 原田知世.永瀬正敏.本上まなみ.松岡俊介 
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569626929

感想・レビュー・書評

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  • テンポのいい会話がいい。
    つまらないことをいつまでもしゃべり続ける中に「愛」が感じられる。
    日常は愛に満ちたおしゃべり。
    その日常に裂け目ができる。
    それが戦争であり、無駄だとも思える死。
    テーマの重さと、軽快な会話のコントラストが涙を誘う。

  • じいんと来る味わい深い作品。

    冒頭の長回しは、あまり工夫がない感じで退屈だったが、戦争末期の鹿児島へと時代・舞台が移ってから動き出す。この長い会話が退屈ではなくなり、一緒に同じ家屋にいるような、舞台劇を観ているような、いつまにか作品の中へ入ってしまう。

    駅のおじさんとか、飛行場とか、沖縄戦とか、具体的なものは会話で示されるだけで一切イメージは出てこない。ひたすら、日本家屋で展開される会話で進む。そんな中でも、原田知世のたたずまいがとても好印象だ。

  • 監督 : 黒木和雄
    出演 : 原田知世.永瀬正敏.本上まなみ.松岡俊介

  • 松田正隆原作、黒木和雄監督、2006年作。原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫出演。
    コメントから。

    <コメント>
    •終戦直前の2週間に紙屋悦子の身辺で起きたことが彼女の青春だった。互いに思いあっていた明石を戦争で亡くし、生涯の夫となる永与を託されたという話。
    •反戦映画。戦闘や空襲など視覚的な戦争シーンはなく、紙屋家を舞台にした語りで物語は進む。
    •紙屋家の生活シーンは、ごくありきたりな暮らしと会話。しかし現代と違うのが「爆弾が落ちて来る」「防空壕に入る」「沖縄奪還に発つ」「戦闘機が着物掛けみたい」「らっきょうと赤飯を食べると爆弾に当たらない」などが会話に自然に入ってくるところ。それが戦時下の日常だったのだろう。
    •人びとはこの戦争がもう負けるかもしれないと思いつつも、そう口にできず、カラ元気を強いられる。徴用も縁談も出兵も、心とは裏腹にカラ元気を出さなければならなかった。「イヤな感じ」だった。
    •その「イヤな感じ」を口に出したのは妻のふさだった。本上まなみの容姿は当時の女性らしくないがミスキャストではない。当時の女性らしくない役柄だからこそのキャスティング。
    •静かでテンポはゆっくり、メリハリもあまりなく、どちらかというと地味な映画。ただ、ストーリー自体はわかりやすいので、ウトウトすることはない。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    老夫婦の旧姓紙屋悦子(原田)と永与元少尉(永瀬)が、病院の屋上で昭和20年4月の2週間を回想する物語。
    昭和20年鹿児島。紙屋安忠(小林)、妻ふさ(本上)と同居する安忠の妹悦子に見合い話が持ちあがる。悦子が想いを寄せる戦闘機乗りの明石(松岡)が持ち込んだ縁談だった。それが翌日なのに安忠は妻を連れ徴用で熊本へ。おはぎを用意した悦子に永与は気の利いたことを言えないが、別れ際に婚意を伝え悦子も拒まず。
    ある晩、徴用から休暇で戻った安忠と3人で夕食時の紙屋家に明石が訪れる。沖縄奪還に明日飛び立つ挨拶だった。特攻である。永与のことを託された悦子は、明石を見送ると1人号泣。
    後日、出発前の明石に預かった悦子宛の手紙を永与が持参し、勤務地が変わることを伝えに来る。明石は亡くなっていた。傷心の悦子は、永与に、迎えに来てくれるように頼む。求婚への答えだった。

  • えーるピア上映会。
    『紙屋悦子の青春』は、松田正隆による戯曲を黒木和雄が原田知世主演によって映画化した2006年作品で、同監督の遺作となった。
    舞台を見ているようなゆっくりとしたいわゆる長回しの場面展開、朴訥な九州弁、戦争がテーマなのに一切そのシーンはなく、云わば銃後の世界を描くことでのその理不尽さの中、特攻志願の青年が、恋心を持つ女性を親友に託する青春物語。
    原田知世の美しさ際立ち、本庄まなみも好演(ちょっと場違いともとれる!?)。
    偶然、「70年目の証言 あの戦争を語る」という本を読んでいた最中で、余計空襲等戦争のリアリティを感じた。

  • 会話から登場人物のキャラクタや、それぞれの関係性を推測していく静かな映画でした。戦争の状況がすべてつつましい食事の並ぶ丸いちゃぶ台もしくは客間のおはぎやとっておきの静岡茶とともに、伝わってきました。

  • 原田知世のかわいさ、透明さがこの映画の第一義。
    とにかく純粋でかわいい役。
    「青春」という題であれば、もう少しいろいろドロドロしたところがあることが垣間見れたり、生き方の性急さ、不器用さのようなものが感じられれば良かった。
    時代、社会に翻弄される命と、その悲しみ。淡々とした日々の中の幸せ。がストレートに表現される。(それがこの映画の良いところ、気持ちの良いところでもあり、物足りないところでもある。)
    セリフのある意味セリフらしいしゃべり方は、小津などの不可思議さとはまた別だが、不可思議なリズムのセリフという味がある。演劇が原作であることがわかる、ある意味少し映画としてはアンマッチな感じ。いっそのこと、素人俳優を採用し、手持ちカメラでドキュメンタリー風にとるのも面白いのでは。
    いい意味にも悪い意味にもベテラン監督の余裕(遊び)が感じられた。

  • 2回試聴。紙屋悦子は鹿児島で戦争の時代を生きていた。死が身近にある毎日。みんな、それでも普通にしていて、お茶がうまいと笑う。お茶にまつわるエピソードで笑う日常。好きな人がいるのにお互い好きなのに、言うことはできないのは明石少尉は飛行機乗りだから。明石少尉の紹介で永与少尉にあう。お見合いのために残していた小豆でおはぎを作る。明日はお見合いなのに兄は熊本の工場へ徴用されたり、お見合いできた明石少尉と永与少尉は勝手に家にあがりこんできてたり、静かな日常のなかで楽しさや動きが盛り込まれている。お茶の間や客間だけやし、ほぼ会話だけどこの薩摩言葉が雰囲気を作っているのかもしれない。おはぎとお茶と桜、それに悦子が笑うと幸せな景色が見える。波の音は静かな世界の音だ。でも、戦争は近くにあって明石少尉は沖縄奪還作戦で逝ってしまう。紙屋悦子の日常には死がまとわりつく。それでも戦後を永与と生きて病院の屋上でまた波の音を聞くのが、死を予感させた。

  • 静かに訴える映画

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