40半ばの女性が、夫の死によって自分が何者でもないことに気づき、自分を見出していく話、として共感して読んだ。これが自伝的作品とは、作家とは何者にでもなれる人なのだな。新しく得た仕事や趣味で突出して成功するわけではない、恋のドラマが花咲くわけでもない。ささやかな一歩を踏み出す普通の人生だが、ノーラの矜持が心地よい。特別な母親ではない、頑固でとっつきにくい、でも周囲の人にはなんとなく一目置かれている彼女のキャラクターがさりげなく描写されている。
音楽への言及も興味深かった。ベートーヴェンの大公、ノーラの愛聴版を聞いてみたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2018年3月5日
- 読了日 : 2018年3月5日
- 本棚登録日 : 2017年12月30日
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