アゴタ・クリストフが母語でない言語で書いたことは知っていたように思うが、フランス語は「敵語」と表現する。子供の頃から活字が大好きで読むのが得意だったのが、難民となり大人になって生活のため身につけざるをえなかったフランス語。喋れるが読めないし書けない、だから「文盲」だったと。現在世界中にいる難民、ウクライナから日本に来た人たちも言語を取り上げられた状態にいることを思う。
母語以外で執筆する作家は少なくはないだろうが(日本でもケズナジャットなど)、言語との距離感含めた作品世界になるのだろう。クリストフはフランス人と同じようには書けないと自認しつつの創作だ。後書きで、彼女は3部作以上のものは書けないとして筆を折ったという。すべての作家が絶えず物語が溢れ出すタイプではないだろう。寡作な彼女の悪童物語を読めたことに感謝。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外
- 感想投稿日 : 2023年4月9日
- 読了日 : 2023年4月8日
- 本棚登録日 : 2023年4月8日
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