転落 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年4月15日発売)
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本棚登録 : 730
感想 : 102
3

★3.5

落ちていく速度は転げるように早いーー。

ホームレスになってしまった「ボク」は、食料を探していた神社で、
小学生の麻由から弁当を手渡される。
巧妙な「餌付け」の結果生まれた共犯関係は、
運命を加速度的に転落へと向かわせる…。

第一章は「ボク」視点。
「何か」からの逃亡の果てに、ホームレスまで転落してしまった「ボク」が、
ある時、神社でたまたま出会った小学生の少女麻由に「餌付け」されてしまい、
麻由はムカツク同級生への意地悪…仕返しを「ボク」にやらせるのだった。
「ボク」は何から逃亡してるのだろう?
どうなっていくのだろう?と、思っていた。
第二章は「ボク」を匿うことになったボクの母親の友人という女性の視点。
えーーーーっ、「ボク」って…。
凄く、凄く驚いたし、次第に明らかになってゆく過去…。
どうして?どうして?っていう謎が膨らんでもいった。
ドンドン展開していってとても引き込まれました。
衝撃のラストにもやられたー。

子供を亡くした母親の苦悩…。
子供を失った悲しみや喪失感ばかりでなくて、身内も決して見方にならず…。
周りの人々の好奇の目や言葉や非難…。
とっても重いテーマも語られてました。
人間関係の闇や悪意がとても怖かった。
女性の闇が怖かった。
そして、気持ちがずっしり重くなりました。
やっばり、読ませてくれました。

見せかけの善意に隠せされた嫉妬・嘲笑・打算が醜くこぼれ落ちる時、
自分を守れますか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス
感想投稿日 : 2017年10月29日
読了日 : 2017年9月2日
本棚登録日 : 2017年10月29日

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