銀杏アパート

著者 :
  • ポプラ社 (2016年4月4日発売)
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感想 : 10
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銀杏アパートに暮らす訳ありの女性たちの6編の連作短編集

大きな銀杏が覆いかぶさった。古くて倒れそうな「銀杏アパート」
そこで暮らしているのは、父親のいない母と小学生の娘・千砂子。
恋人からの暴力に悩むデパート販売員・スズコ。
動物としか心を通わせることが出来ない女子大生・菜音。
ワケありの住人たちばかり…。

最初銀杏アパートに暮らす訳ありの女の人達の連作短編集かなって思ってた。
どのお話にも、脇役なんだけどそれぞれのエピソードにちらりと千砂子が顏を見せる。
小学生だった千砂子がその都度少しずつ成長して行ってる。
一人の女の子の成長の物語でもあった。
大きな銀杏の木は変わらずそこにどっしりとあり続けてるが、
時間の流れというものをじんわりと感じさせられた。
大きな銀杏の元で、過去に傷を持ちながらもそれでも誰かを求めずにはいられない
不器用な女性達は、それぞれの現在から一歩踏み出して前へ進もうとしていた。

最初、内容が重かったけど優しさで人が繋がっていって、
最後はなんだかほっとした。ほんわかと、後味の良いお話でした。
文章に温かみが感じられて読み易かった。
何より、小学生だった千砂子が強くしっかりした大人の女性に
成長していく姿を見れて楽しかった。
きっと主人公だけど、脇役で成長を感じられる憎い演出だと思った。
皆、幸せになって欲しいなぁ。
生きる「気合い」この言葉がとっても印象的でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 連作短編集
感想投稿日 : 2016年8月6日
読了日 : 2016年8月6日
本棚登録日 : 2016年7月26日

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