会社の同期に勧められた本。
今まで読んだビジネス関連の本の中ではNo1かもしれない。
企業や事業が立ち上がりから安定するまでにどのような問題が発生し、その原因は何かをパターン化して説明してくれている。
ライフサイクル期に応じた人間の動きのパターン
ここまでパターン化して説明できるようになるためには
いったいどれだけの数の修羅場を体験し、どれだけの経験を積んで、その経験を抽象化・一般化する知的格闘をしてきたのか、読んでいて鳥肌が立った。
物語形式で話が進むため、三枝さんの本のような体裁を取っている。
両者で違うのが、人と組織に対する考え方だ。
両者とも事業はリーダーのパワーが最も重要だという点では同じだが、
三枝さんは組織内の不完全なメンバーを強い経営リーダーがどのように導くのか、という「リーダー個人の力量」に視点が置かれているのに対して、
神田さんは組織や人とは構成員の役割が決まっていてその中でバランスを取るものであり、
そうした構造的理解がないまま無理やりねじ伏せると、
必ず歪みが発生する。
そのパターンもわかっているから段階に応じて組織内のメンバーが役割を適切に演じる、もしくはそうなるようにリーダーが促す、という「組織を構成する人間の心理とパターン」に視点が置かれているという点だ。
本書の中では「鬼の経営」と「仏の経営」という対比がされている箇所があり、
まさにそう。
そして本書では「仏の経営」の中に「鬼の経営」が包含しているべきだと書かれている。
まったくそのとおりだと思う。
熱き心で「鬼の経営」だけでメンバーを引っ張るのは、
結局いたるところに歪みが出る。
それを身を持って理解しているからわかる。
本書ではそうした歪みを「シグナル」として認識できるようになり、その場合の原因と対処方法まで教えてくれる。
これは折にふれて読み返さないといけない本だと思う。
- 感想投稿日 : 2018年7月26日
- 読了日 : 2018年7月25日
- 本棚登録日 : 2018年7月25日
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